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北京五輪、勝手に選んだトップ10

フットボール、バスケットボール、野球以外をスポーツと認めないアメリカで、計2.1億人の視聴者を集め、1996年のアトランタ五輪を抜いて歴代最も視聴されたイベントとなった北京オリンピック。

NBCの録画放送に憤りを感じながらも、競技そのものの美しさや人間ドラマに浸ることのできた17日間でした。そこでアメリカで見た夏季オリンピックのトップ10ニュースを選んでみました。

10. 超大国バトル
今大会はアメリカと中国が他国を引き離してメダル数争いを繰り広げました。メダルの総数では110対100でアメリカに軍配。金メダルの数では51対36で中国。偶然にも、アメリカのメディアは各国の順位をメダル総数順に並べ、他の国では主に金メダル順に紹介していました。

9. 小粒な日本代表
プロ野球のトップ選手で構成された日本代表が、韓国、キューバ、アメリカに歯が立たない(そもそも上位4ヶ国とそれ以外の国で力の差がありすぎました)。言い訳はいくらでもできるかもしれませんが、これが現状だと思います。予選で参加国中最少失点に抑えた投手陣や守備は褒められますが、得点力が低すぎる。出塁率と長打率はいずれも4強中最下位でした。もっとパンチ力のある野手が育ってこないと、国際舞台やメジャーリーグでの活躍は限られてきます。来年のワールド・ベースボール・クラシックが心配です。

8. 金よりも尊い笑顔
女子の平均台で金メダルを獲ったショーン・ジョンソン。負けても笑顔を絶やさず、ライバルに拍手ができる前向きな姿勢は4つの金、銀メダルがかすんでしまうくらいの輝きを放っていました。

7. 明暗の分かれたサッカー
アメリカと日本は両国とも、男子は予選通過さえならなかった一方、女子はアメリカが優勝、日本は4位と好成績をおさめました。

アメリカ女子は昨年のワールドカップで苦杯をなめさせられたブラジルに勝っての金メダル。ゴールキーパーのホープ・ソロは、ワールドカップのブラジル戦後に、スタメンから外れた不満を漏らし、監督やチームメイト、メディアから痛烈な批判を受けました。それでもくじけずにオリンピック代表の座を獲得し、決勝のブラジル戦では好セーブを連発して名誉を回復しました。

6. アメリカが負けてよかった?
次回のオリンピックでは正式種目から外れることの決まっているソフトボール。最後になるかもしれない五輪の決勝で、アメリカと日本がぶつかりました。1996年のアトランタでソフトボールが競技に加わって以来、圧倒的強さで金メダルを独占してきたアメリカを日本が3-1で破るという番狂わせ。

予選と準決勝で2度日本を破っているアメリカが銀というのは気の毒ですが、アメリカ国内ではこれでIOCに対して2016年から競技を復活させる理由が出来たとの声が挙がっています。表彰式の後には、メダルを獲得した日本、アメリカ、オーストラリアの選手達が黄色のソフトボールを並べて「2016」の文字を作りました。

5. クール・ランニング旋風
男女ともに陸上短距離走でアメリカから主役を奪ったのがジャマイカ。特にウサイン・ボルトは、余裕のパフォーマンスを見せながら100メートルで9.69秒という世界記録を樹立した上、200メートルでも不滅といわれたマイケル・ジョンソンの記録を破りました。人口270万人の小さな島国が世界の頂点に立った瞬間です。

4. 悲劇を乗り越えての金メダル
今大会、競技以外で最も話題になったのが、アメリカ男子バレーボール監督の義父母が襲われた事件。ヒュー・マッカーチョン監督の義父は亡くなり、義母も重症を負いました。マカーチェンは3試合を欠場しましたが、その後チームに戻りアメリカを優勝に導きます。

3. ドリームチーム、「夢」を挽回
期待を裏切らない活躍で優勝したアメリカ男子バスケットボール。スペインとの決勝は第4クウォーターで2点差まで詰め寄られますが、最後はコービー・ブライアントがきっちりしめて勝ちました。でもアメリカは結局最後は個人の能力に頼らざるをえないもろさがあります。このまま他国が力をつけていったら、更にその差は縮まるに違いありません。

2. Magic number "8"
アメリカでこんなにオリンピックが盛り上がったのは、マイケル・フェルプスの8冠があってのことです。でも彼の水泳の記録よりも、一日に12,000カロリーを摂取してあれだけの身体を保っていることのほうが驚きです。

1. 「成功」したオリンピック
開会前までは大気汚染や人権問題が大きく取り上げられていた今大会。でもいざ始まってみれば、そうした問題が表面化することもなく、競技そのものを楽しむことができました。ただし、それは運営側がデモを封じ込め、大会期間中の環境コントロールを厳しく行った結果。中国がお金と人的資源を惜しみなくつぎ込んだことで、人々の心に残る開会式とスムーズな大会運営が実現されましたが、それが臭いものにフタをしただけだったとは思いたくないものです。
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モニカ・アボット、王冠なきソフトボール女王

北京五輪のソフトボール、日本とアメリカが準決勝で対決しました。アメリカのモニカ・アボットと、日本の上野由岐子選手が投手戦を見せ、両チーム得点のないまま七回を終了したため、延長タイブレーカーへもつれこみました。結局九回に4点を挙げたアメリカが4-1で勝利。決勝進出を決めました。

左腕アボットはテネシー大学出身で、ボクも学生時代に取材をしていました。彼女を際立たせるのは何といっても190センチの身長。最初に会った時は思わずバスケットボール選手かと聞いてしまったほどです。

アボットの速球はおよそ110キロ。世界最速を誇る上野選手の119キロには及ばないものの、身長を活かした大きな歩幅で、ボールをリリースする位置が他の選手よりもバッターに近くなるため、スピードガン表示以上の迫力とスピード感があります。

日本代表も男子ピッチャーを相手に準備をしてきたといいますが、190センチのピッチャーというのはそう滅多にいるものではありません。

テネシー大学に入学したアボットは、それまで無名だったソフトボールチームを、4年間で3度、全米大学ソフトボール選手権へと導きます。在学中からアメリカ正代表チームに選出され、一躍大学ソフトボール界の頂点へと登りつめますが、最初の2度の大学選手権では決勝へ進むことができませんでした。

四年生となり、満を持して臨んだ2007年のシーズン。テネシー大学は優勝候補に名を連ねて選手権に乗り込みました。無敗で初の決勝ラウンド進出を果たし、アメリカ代表監督も務めるマイク・カンドレア率いるアリゾナ大学と対戦します。先に2勝した方が優勝という中、テネシー大は初戦をものにし、第2戦でもあと一歩のところまでアリゾナを追いつめますが、まさかの逆転を許してしまいます。

それまで1人でチームを背負ってきた疲れが出たのか、最終戦ではついに力尽き、アボットの大学生活は準優勝で幕を閉じることに。ESPNで全米中継された決勝戦は選手権史上最高の視聴率を記録しました。

当時、テネシー大学新聞でスポーツ編集長をしていたボクは、アボットが大学時代あらゆる記録を塗り替えながら、一度も優勝することができなかったことから、"A queen without a crown(王冠なき女王)"という書き出しで決勝戦の記事を書きました。

皮肉にも、アメリカ代表のあまりの強さゆえ、ソフトボールは野球とともに、2012年のロンドン五輪正式種目から外されてしまいました。

アボットにとって最後となるかもしれない今回のオリンピック。日本と相性の良い彼女は、日本が決勝を進出を決めた場合、再び登板する可能性があります。最後のチャンスをものにし、彼女は本当の「女王」になって花道を飾ることができるのでしょうか。

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ジョンソン、笑顔でつかんだ金メダル

アメリカ女子体操のショーン・ジョンソンが、最後の種目平均台で金メダルを獲りました。他の選手が次々とバランスを崩す中、安定した演技を見せてくれました。

145センチの身長で、ちょこまかと細い台の上を飛び跳ねるジョンソン。演技を終え、満足した表情でカメラに向かって手を振り、笑顔でVサインを作った時は正直メロメロになってしまいました。

チームメイトのナスティア・リウキンがほぼ完璧に演技をこなしたのを見た時は抜かれたかと思いましたが、難易度の差でジョンソンが金メダル、リウキンが0.2ポイント差で銀メダルを獲りました。

スタンドにいる両親に人さし指を立てて優勝をアピールしたジョンソンの姿を見て、お母さんの目からは涙がこぼれていました。娘にかかる金メダルのプレッシャーを辛いほど分かっていたのかもしれません。

これで喬良コーチと二人で歩いたジョンソンの16歳の夏は終わりました。そして二人はアメリカの田舎アイオワ州へと帰っていきます。3つの銀メダルと、笑顔でつかんだ金メダルを胸にかけて。

北京オリンピック体操の写真

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Redeem Team: アメリカ男子バスケットボール代表の挑戦

北京オリンピックで圧倒的強さを見せるアメリカ男子バスケットボール代表チーム。昨日もドイツを106ー57で破り、1次リーグ全勝で準々決勝進出を決めました。

1992年にアメリカが初めてNBA選手達で構成されるチームをオリンピックに送り出してから16年。マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソンなどのスーパースターを擁した初代ドリームチームは、対戦相手を全く寄せ付けない試合運びで金メダルを獲得しました。

その後もアメリカは勝利を重ねていきますが、次第に他国との差は縮まっていきます。2002年の世界選手権では6位に終わり、プロ選手が出場し始めて以来、初めて優勝を逃します。2004年のアテネオリンピック、2006年に日本で行われた世界選手権ではともに3位と、アメリカ国民のプライドはずたずに引き裂かれてしまいます。

今回はバスケットボール発祥地としての威信を取り戻すべく、「Dream Team(夢のチーム)」ならぬ「Redeem Team(名誉挽回チーム)」と呼ばれています。

これまでのアメリカチームは、オフシーズンに都合のよい選手達をかき集めて、大した準備もせずに大会に臨んできました。しかし今回は、フェニックス・サンズの元オーナーで代表チームのディレクターを任されたジェリー・コランジェロが中心となり、選手達の金メダルにかける情熱を重視してメンバーの選出を行いました。コランジェロは北京五輪の3年前から準備を進め、代表候補たちと面接を行い、大会直前に限らず五輪に向けて時間と労力をさく意思があるかを確認したといいます。

ヘッドコーチにはデューク大学のマイク・シェシェフスキーが任命され、我の強いスターたちをいかにまとめあげるかに焦点が集まっていました。しかしオリンピックが始まり、それは杞憂に終わります。予選ラウンドでは、2006年に辛酸をなめさせられたギリシャに92-69、世界選手権優勝国スペインに119-82と大差で勝利。普段は30得点近くを挙げる選手達がディフェンスとチームプレイに徹した結果です。

そもそもこれまでの敗北は、アメリカ人選手の質の低下だけでなく、他国のレベルの向上が大きな理由でした。初代ドリームチームの活躍を見たヨーロッパやアジアの若い子供たちの間でバスケットボール人気が高まり、NBAを目指す選手達が急激に増えます。日本でも漫画スラムダンクの人気と相まってバスケットボールが流行った時期がありました。

五輪開催国の中国では、姚明(ヤオ・ミン)の影響でバスケットボールやNBAが大きく人気を集めています。中国人の留学生グループがうちの新聞社を見学に来た時、数人の中学生から、「コービー・ブライアントの取材をするんですか」と聞かれて驚きました。

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今やヨーロッパや南米出身の選手が、NBAチームの中心となって活躍するのは珍しい光景ではありません。これはバスケットボールが、サッカーと並ぶグローバルなスポーツになったからに他ならず、多いに喜ぶべきことです。

しかし何が何でも一番でなければ気の済まないアメリカ人は、他国がアメリカに追いつくことが気に入りません。発祥地としての意地もあるのでしょう。

2006年の世界選手権準決勝でギリシャに負けた時、シェシェフスキーコーチは試合後の記者会見で、「(ギリシャの)4番は前半素晴らしい活躍をした。7番は後半素晴らしく、15番は試合終盤にいいところでシュートを決めていた」と話しました。

ヨーロッパの記者を呆れさせるくらい対戦相手に関して無知だったアメリカ代表の高慢な態度が敗因の一つだったことは間違いありません。まだまだ他国の力を侮っていたのでしょう。

これに気付いたコーチ陣や選手は、決意を新たにオリンピックに臨むこととなります。世界選手権で3位に終わったことは、アメリカにとってむしろいいことだったのかもしれません。

アメリカが再び世界の頂点に立つには、バスケットボールがグローバルスポーツとして普及し、世界全体のレベルが上がっていることをまずは認識する必要があります。選手たちがそれに気付いた今、テレビで彼らの一挙一動を追う自国のファンたちが世界各国のバスケットボールに敬意を払う番ではないでしょうか。

たとえRedeem Teamが負けたとしても、それをバスケットボールというスポーツの進化として前向きにとらえる謙虚さを持ってもらいたいものです。

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ショーン・ジョンソン、笑顔の体操少女

早くも後半に突入した北京オリンピック。マイケル・フェルプスの8冠や北島康介の連覇など話題には事欠きませんでしたが、ボクが最も注目したのは女子体操でした。

優勝を期待された団体では惜しくも中国に敗れて銀メダルに終わったアメリカ代表ですが、個人総合では金、銀を独占。2位を獲ったショーン・ジョンソンは、ボクのお気に入りのアスリートです。



ジョンソンはアイオワ州出身で、身長145センチの16歳。あまり背の高い選手のいない体操界でも、極めて小柄な存在です。それでもいったんゆかや平均台の上に立つと、対格差など微塵も感じさせない元気いっぱいの演技を見せてくれます。

2007年には15歳で全米、世界王者となり、北京にもフェルプスや陸上のアリソン・フェリックスなどと共に、アメリカ中の期待を背負ってやってきました。体操の実力はもちろんのこと、その屈託のない笑顔とクリクリした目にボクもたちまち虜にされてしまいました。

今大会、彼女はここまで3種目(団体、個人総合、ゆか運動)に出場して、銀を三つ獲得。

個人総合ではチームメイトのナスティア・リウキンに優勝を譲りますが、その時のジョンソンの演技にボクは心を揺さぶられました。最後の種目であるゆか運動を残した時点でリウキン、中国の楊伊琳に続く3位。最終演技者として自分の番を待ちますが、ゆかでも素晴らしい演技を見せたリウキンを上回るのは既に不可能な状況でした。楊にも自分の持つ実力を出し切られなければ追いつくことはできません。

しかしそんな窮地の中、ジョンソンはゆかに立つなり、とびっきりの笑顔を浮かべました。メダルのためではない、ただ自分が満足できる演技をする、ボクの目にはそんな決意の表れに映りました。

彼女はミスを恐れないダイナミックな演技を見せ、存分にらしさを発揮。リウキンや他の年上の選手に見られる優雅さや繊細さはないものの、体中のバネをいっぱいに使って床を跳ね回り、16歳のショーン・ジョンソンそのものをはじけさせていたようでした。最後の着地を決め、もう一度にっこりと笑ったジョンソンを見た時は、自分でも目の辺りが熱くなるのが分かりました。

昨日行われた種目別のゆか運動では、一番初めに演技をする不利な立場だったにも関わらず、「身体の温まった状態でのぞめる」とポジティブにとらえます。プレッシャーをものともしない演技で高得点をたたき出し、トップに立ち続けますが、なんと最終演技者にわずか0.15点差で破れてしまいます。

電光掲示板を見たジョンソンの表情は一瞬凍りつきます。それでも優勝したルーマニアの選手と抱擁を交わし、彼女を追い続けるテレビ局のカメラに笑顔で応えながら退場していきました。

母国のファンやメディアから金以外では決して満足してもらえないプレッシャーを受けるジョンソン。きっと胸の中ではフラストレーションがたまっているはずです。それらを振り払うかのように、16歳の少女は堂々と胸を張りながら、人一倍大きく腕を振って行進していました。




世界トップレベルの実力を持つジョンソンは、地元アイオワ州西デモインにある体操ジムに通い、6歳の頃からトレーニングを積んできました。でも決して体操漬けの生活というわけではなく、地元の公立高校に通う普通の女子高生としての一面も持ち、将来はアイビーリーグに進学したいとも語っています。

中国男子代表として活躍したことのある喬良コーチは、23歳でアメリカに渡り、奥さんと二人で現在のジムを始めました。AP通信の記事によると、喬の指導方針はスパルタとはほど遠く、ジムでは初心者からジョンソンのようなエリート選手までが楽しく体操を学んでいるといいます。

ジョンソンのコーチとしての実績を買われ、全米代表コーチに抜擢された喬は、オリンピックでもしばしばテレビに映りますが、いつも穏やかな笑顔で選手達を迎えています。彼の力があったからこそ、ジョンソンが自分らしさを保ったまま楽しんで体操をしていられるのは間違いないでしょう。

ボクの好きな「クール・ランニング」という映画の中に、こんなセリフがでてきます。

金メダルは素晴らしいものだ。でも金メダルがなくて十分に感じていないのであれば、たとえ金メダルを獲っても一生十分に感じることはないだろう。

ジョンソンは19日の夜、種目別の平均台で最後の演技に臨みます。平均台はジョンソンが一番好きだと語る種目。第二の父親とまで彼女が語る喬コーチの故郷で、ジョンソンが最後の最後で金メダルを獲る姿をぜひ見たいものです。でもきっと彼女なら、一位だろうが最下位だろうが、とびっきりのスマイルで北京を後にするに違いありません。

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フェルプス、スピッツを抜く8冠達成

マーク・スピッツの7冠を抜いたことでオリンピック前半の話題をさらったマイケル・フェルプス。8つの決勝全てに勝つには、才能、たゆみない努力、ミスをしない精神力などに加え、運を引き寄せる力も必要なのだと感じました。

最も困難だと言われた4x100メートル自由形リレーでは、チームメイト助けを借りてまさかの逆転劇。そして一昨日の100メートルバタフライでは、わずか0.01秒差でセルビアのカビッチを破っての勝利。いつものことながら、フェルプスの極端に遅いスタートに、50メートルターンの時点では誰もが無理だと思ったはずです。それでも真骨頂とも言える猛追撃を見せ、最後のひとかきで優勝。わずか数ミリの差でしたが、公式時計担当オメガ社の測定器2台が同じ結果を表し、連続静止画像も確認された結果、フェルプスの優勝が決まりました。

フィニッシュの瞬間をとらえた連続写真

ただ一つ残念に思うのが、オメガがフェルプスのスポンサーであるという事実。今回の競技結果に異議を唱えるつもりはありませんが、特定の競技者を支援している企業が結果に影響を与える立場にいるというのは、公明正大なシステムだとは言えません。商業主義によって成り立つ現代のオリンピックだからこそ、スポーツの根底に関わる部分においては、誰もが平等だと思える環境を整えてもらいたいものです。

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アメリカから見る北京五輪

桁外れな開会式で幕を開けた北京オリンピック。早くもテレビから目の離せない展開となっています。

プレッシャーのかかる中、まずは北島康介選手が100メートル平泳ぎで金を獲得。日本は多いに盛り上がっていると聞きます。マイケル・フェルプスほどではないにせよ、宿敵ブレンダン・ハンセンも記録保持者としてアメリカで注目を集めていました。それでもNBCの解説者が「何だか北島がやりそうな気がする」と述べるほど北島選手はその実力を認められています。そのプレッシャーを乗り越えての金は非常に価値があります。

日本人アスリートとしては珍しく自分の考えを率直に述べる北島選手。これまで日本では「不言実行」が美徳とされてきましたが、人前で自分の目標をはっきり述べて責任を持つほうがずっと難しいことのように思います。

でもアメリカで昨晩注目を集めたのは、何と言っても水泳の400メートルリレー。前人未到の8冠を狙うフェルプスにとって最大の試練だとも言われていました。下馬評ではフランス有利の中、最後のターンで体一つくらいフランスがリードしていましたが、アメリカのアンカー、ジェイソン・レザック(32)が驚異的な追い上げを見せ、なんと世界記録を3.99秒上回るタイムでアメリカが優勝。2位フランスとの差は0.08秒。普段は水泳にほとんど興味を示さないアメリカが熱気に包まれました。

また女子100メートルバタフライでは、大学新聞の編集長を務めていた時に取材をしたテネシー大学のクリスティーン・マグナソンが銀メダルを取りました。これで水泳もちょっとは地元ノックスビルの関心を集められるようになるといいのですが。

更にはアメリカ男子バスケットボールチームがついに始動。前回オリンピックで銅メダルに終わった屈辱を晴らそうと、全米が注目しています。初戦は中国に圧倒的な力を見せつけ勝利。中国の人口を考えても、バスケットボール史上最も多くの人が視聴した試合だったのではないでしょうか。

中国選手団の旗手を務めたヤオ・ミンの活躍もあり、中国ではNBA人気が高まっています。今回の滞在でロックスター並の扱いを受けているというアメリカチームですが、果たしてプレッシャーに打ち勝つことができるのでしょうか。

他にもアメリカ女子体操チームが好発進を見せました。本番直前のウォームアップ中に怪我人が出てしまい、5人枠のところを4人で出場となりましたが、それでも優勝候補の実力を発揮し、2位で予選を通過。逆境を乗り越えて優勝したアトランタ五輪の再現を期待したいところです。

日本で水泳を観ていた人は気付いたかもしれませんが、今回の五輪では水泳と体操の決勝は現地時間の朝に行われます。これはNBCがアメリカ時間のゴールデンタイムに人気種目を生中継できるよう要請した結果です。あまりの身勝手さに他国からは批判も出ましたが、大会運営費の半分近くに及ぶ900億円をNBCが放映権料として出しているので、五輪側も断るわけにはいかなかったようです。

選手や他国の視聴者には迷惑な話ですが、シドニー五輪を録画で観戦するはめになったアメリカ人には願ってもない幸運、、、、と言いたいところなのですが、やってくれましたNBC。西海岸は3時間遅れで放送という訳の分からないポリシーを打ち出したのです。結果を知って見るスポーツほどつまらないものはありません。

たかが3時間と思われるかもしれませんが、インターネットが全てのこの時代に、3時間結果を知らないでいろというほうが無理な話。ましてやスポーツ記者として働いているので、情報を遮断するのは不可能です。

昨日も頑張って水泳の結果を目にしないようにしていたのですが、ESPNのトップページにでかでかと載っていたフェルプスのおたけび写真を見てしまいます。終いには、通信社から送られてきた情報に北島選手の結果を見つけゲームセット。怒りを通り越し、放心状態でした。

それでもオフィスのテレビで観戦した水泳400メートルリレーには興奮したのだから、素晴らしいレースだったことに間違いありません。最後のターンの時点ですら、本当に逆転できるのか不思議に思ったくらい。まさにオリンピック史上に残るレースでした。

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難民のかなえたアメリカン・ドリーム

ついに数時間後に迫ったオリンピック開会式。日本は卓球の福原愛選手が旗手を務めますが、ぜひアメリカの旗手にも注目してください。

ロペス・ロモング、23歳。アメリカ陸上代表選考会の1,500メートルで3位に入り、オリンピック出場を決めました。

ロモングは計200万人の命を奪ったといわれる内戦に苦しむアフリカのスーダンで生まれました。教会に行っていた6歳のロモングは、突然押しかけてきた反政府軍たちに銃を突きつけられ、他の子供たちもろとも連れ去られてしまいます。彼らは子供たちを誘拐して兵士に育てようと考えていたのです。

しかし兵士にするにはあまりに幼すぎたロモングは捕らえられていた3週間、ろくに食料も与えられませんでした。仲間達が次々と餓死していく様子を目の当たりにした彼は、監視の目を盗んで友達3人と軍事キャンプを抜け出し、3日間裸足でサバンナを走り続けました。

国境を越えケニアに抜け出た彼らは警察に捕まり、難民キャンプへと送られました。そこで国連や国際援助機関の保護のもと10年を過ごした16歳のロモングに転機が訪れます。

アメリカ政府が約3,800人の内戦孤児の子供にビザを与える定住プログラムを始めたのです。自らの体験とアメリカに行く夢を書いた作文が認められ、ロモングはニューヨーク州に住むアメリカ人夫妻に引き取られることとなりました。

初めは電気の消し方やシャワーの使い方にすら戸惑ったというロモングですが、徐々にアメリカの生活に慣れ、高校で始めた陸上で才能を発揮し、北アリゾナ大学に進学を決めます。そこで全米優勝を果たしたロモングは、昨年アメリカ国籍を取得し、アフリカの家族とも再会を果たしました。

今回のオリンピックでチベットと並んで政治的焦点となっているダルフール紛争問題。スーダンのダルフール地方で起こっている政府による虐殺を食い止めようと、世界各国のアスリートが集まって「チーム・ダルフール」を結成しました。ロモングもそのメンバーの1人です。

スーダンに石油利権を持つ中国は、ダルフール紛争に関して厳しい態度をとることを避け、更にはスーダン政府に武器を供給しているとも言われます。「チーム・ダルフール」がオリンピックでそうした対応を批判するメッセージを発信することを恐れた中国政府は、「チーム・ダルフール」の創設者でトリノ五輪スピードスケート金メダリスト、ジョーイ・チークの入国ビザを無効にしてしまいました。

そんな矢先に、各競技の代表選手たちがロモングを旗手に選んだことは、政府やオリンピック委員会による抑圧を恐れない選手側の強い意思に他なりません。

テレビでオリンピックの開会式を見る難民キャンプの子供たちの眼に、自分たちと同じ境遇で生まれ育ったロモングがアメリカチームの先頭を切って入場する姿がどのように映るのか。今から開会式が楽しみです。

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ファーブ、ジェッツへ移籍

将来殿堂入り確実と言われるNFLのクウォーターバック、ブレット・ファーブがニューヨーク・ジェッツへ移籍しました。

ファーブはウィスコンシン州のグリーンベイ・パッカーズで1992年から2008年にかけて、毎試合スタメン出場し続けたまさに鉄人。スーパーボウル優勝、MVP3年連続受賞といった記録に残る活躍に加え、父親の死や妻の癌といった試練を乗り越えて試合に出続ける姿勢がファンの心をとらえ、アメリカ人に最も愛されるアスリートの1人になりました。

アメリカ人が理想とする、タフで家族思いな男性イメージにあてはまる存在だとも言えます。

38歳を迎えた昨シーズンは、チームをスーパーボウル一歩手前まで導きますが、延長で惜しくも負けてしまいます。以前から引退を取りざたされていたファーブは、ついに今年の3月引退を宣言。

「まだプレーできることは分かっている。でももうそういう気持ちにはなれないと思う」と会見では涙を流す場面も。

それからわずか4ヶ月。ファーブはチームに現役復帰の意思を伝えます。しかし、パッカーズは既に高齢のファーブではなく、若手のアーロン・ロジャーズをスタメン起用するチーム構想を練っていました。

あくまで試合出場を臨むファーブは、他チームへの移籍を申し立てましたが、パッカーズは地元の英雄がライバルのミネソタ・バイキングズに加わるのを恐れ、彼の主張を認めようとはしませんでした。ファーブが現役復帰を諦める代わりに、チームが10年間で2500万ドル(約25億円)のマーケティング料を彼に払うオファーをしたとも言います。

ファーブとパッカーズの関係は険悪になり、ついにはNFLのロジャー・グッデルコミッショナーがファーブの申請を受けて復帰を了承する事態に。ファーブはパッカーズのシーズン開幕前キャンプに4日から参加しましたが、彼をスタメンとして使うつもりのないチーム側は、ついに今日ドラフト指名権と引き換えに、別カンファレンスに所属するジェッツにトレードに出したのです。

この2週間くらい、常に新聞の1面をにぎわせてきたこの騒動もついに終わりを迎え、少々うんざり気味だったボクも、ようやくオリンピックに人々の関心が向くのではないかとホッとしています。

ファーブにしろ、メジャーリーグのロジャー・クレメンスやバリー・ボンズにしろ、スター選手にとって引退というのは必ずしも簡単な選択ではありません。大舞台でメディアや大観衆に注目され続けてきた選手にとって、突然そこから消えるというのは辛い決断です。一度そこから離れてみて、スポットライトやギリギリの勝負(そして時には多額の給料)というものが恋しくなるのかもしれません。

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tag : NFL フットボール ファーブ グリーンベイ パッカーズ ニューヨーク ジェッツ 移籍

独りぼっちの映画館

ハイデザートの夏は過酷です。

湿気がないので、立っているだけで汗が滲み出るという不快感はありません。でも雲一つない空から降り注ぐ日差しのせいで、ちょっと外を歩くだけで気力を吸い取られ、何もする気にならなくなります。東京のじめじめした夏に比べれば大差ないかもしれませんが、山を越えたところにあるロサンゼルスの過ごしやすい気候を考えると惨めな気持ちになります。

ただ砂漠なので昼間40度近くあっても、夕方からはぐっと気温が下がり、夜は25度くらいに。そのため最近では昼間は室内に閉じこもり、夜活動するようになりました。

昨日は久々の休みということで、夜9時半に1人で近所のお気に入りの映画館へ。といっても最新映画がやっていたり、最新設備が整っている訳ではありません。公開から2ヶ月ほど経った映画を流しているため3ドルから5ドル(300円から500円)という低価格な上、アパートから車で3分という利便性が気に入っています。

そして何よりお客さんが少ないのが魅力です。1週間ほど前に「アイアンマン」、そして昨日は「インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」を観たのですが、どちらも場内にはボク1人だけ。まさに貸し切り状態です。隣や前の人を気にすることなく、落ち着いて映画が見られます。

アメリカ人は映画館で拍手をしたり、大声で笑ったりとリアクションがあって面白いのですが、その反面、ポップコーンをボリボリ貪るカウチポテトや、キャピキャピくっちゃべるティーンガール達のせいで会場が修羅場と化すことも。そうしたリスクを避けられることもあって今の映画館に通うようになりました。

この集客状況ではいつまで経営が持つかわかりませんが、ボクの熱いサポートに応えて頑張ってもらいたいものです。

ちなみに日本で公開間近の「ダークナイト」。同僚達と公開初日にロスまで見に行ったのですが、真夜中というのに巨大な駐車場が満杯になり、しかもいい席で見ようとするファンで、映画館の外にまで続く大行列ができていました。すさまじいペースで興行収入記録を更新するこの作品、バットマンシリーズの中ではストーリーに深みがあり秀逸な出来だと思います。

theme : ダークナイト(The Dark Knight)
genre : 映画

プロフィール

TomoyaS

Author:TomoyaS
アメリカ生まれ、日本育ち。日本で大学を卒業した後、アメリカの大学院でスポーツ学の修士課程を修了。現在はカリフォルニアの新聞社でスポーツライターとして活動中。

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