スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポーツライターでいられる意味

金曜から日曜にかけて、チャンピオンズツアーという、ゴルフの大会を取材してきました。以前はPGAシニアツアーと呼ばれていたことから分かるように、50歳以上が対象のプロ大会です。ニック・プライス、トム・カイト、青木功さんといった、往年の名選手たちも参加しています。

実はゴルフの取材は初めてで、ちょっと緊張していました。ゴルフそのものに関しても初心者で、基本的なルールと有名な選手を知っている程度です。でも三日間終わるまでには、取材にも慣れ、テレビや本ではとても得られないだけのゴルフ知識が身に付きました。

ちなみに、ゴルフというスポーツは、たくさんの選手が同時に別々の場所でプレイしているため、全員を追うのは不可能です。記者達はコースに出るのではなく、メディアセンターでテレビ画面を見ながら記事を書きます。

その点ボクは一人の選手に焦点を当てて取材をしていたため、少しでも色々なことをつかもうと、外に出て選手やファン達とコースを歩いて回りました。晴天、曇り、強風、雨、雷、ひょうと、あらゆる天気を経験し、更には日焼けで熱が出る羽目になりましたが、それだけの価値はあったと思います。

ところで、二日目にクラブハウスで昼食をとっていた時のこと。隣に座ったロサンゼルス・タイムズの記者が話しかけてきて、お互いのバックグラウンドの話をし始めました。彼は普段はモータースポーツの番記者で、ボクも名前は目にしたことがありました。

2年前まではずっとビジネス担当記者をしていたらしく、モータースポーツに空きが出たため、応募してスポーツに移ってきたとのことです。もう20年もタイムズに勤めるベテラン記者で、ボクのようなひよっこ記者にとっては憧れの存在。その彼がこんなことを言いだしました。

「スポーツライターになれたなんて、夢みたいだよ。」



ボクがどうしてかと訪ねると、

「これまでウォールストリートやシリコンバレーで、大して面白みのない重役さんたちを相手に取材をしてきた。それが今では、自分が大好きなF1やオートバイ、NASCARに四六時中関わっていられるんだ。それって幸せなことじゃないか。」



これまで少しでも大きな仕事をしてみたいと、無我夢中で取材をして記事を書いてきたボクにとって、それは目を覚ましてくれるような言葉でした。

「これまで貴重な休みを使って観戦しに行ってたレースを、毎週最高の位置で見られるばかりか、レーサーと話をすることもできる。お金にはかえられない経験だよ。出張が多くて、ガールフレンドと会いづらいのがネックだけどね(笑)」



ジャーナリストは取材対象から一定の距離をおかなくてはいけない。それを強く意識してきたボクは、自然とスポーツを純粋に楽しむ心、スポーツを職業にすることを決めた時の、ワクワクする気持ちを忘れかけていました。

それでも仕事そのものは楽しんでいました。紙面のデザインから、電話番といったデスクワークから、高校スポーツの取材や記事の執筆まで、記者という仕事の全てがボクにとっては楽しい。職場に向かうのが嫌だと思ったこともほとんどない。だからこそ、あまりスポーツそのものに楽しさを感じられなくなくても、いい記事を書くことや優れた取材を行うことができていれば満足でした。

取材対象が自分の愛するスポーツだということを振り払い、プロフェッショルに振る舞うことばかりを意識していました。だから、自分はスポーツライターではなく、ジャーナリストなんだという意識を常に持っていました。

でも、彼の言葉で、ボクがここまで仕事を楽しんでいられるのは、実は対象がスポーツであるからにほかならないのではないかと気付くようになった。これが地元議会の小さな会合を取材する毎日だったら、果たして続いているだろうか。

よくかっこいいなどと勘違いされるのですが、スポーツはジャーナリズムの間でも、扱いが低いのが普通です。スポーツが文化だと言われるアメリカでさえ、未だにスポーツ記者は、大人になりきれていない人間の就く職業だというステレオタイプがあります(ボクの好きなマイベスト・フレンズ・ウェディングという映画を見れば分かります)。

でも、地位や名誉、お金を手に入れることだけが幸せではない。自分の好きなことを仕事にしていられることこそ、実はすごくラッキーなのだということ、スポーツライターでいられること自体が幸せなのだということを毎日噛みしめていこうと思います。

ベスト・フレンズ・ウェディングベスト・フレンズ・ウェディング
(2007/09/26)
ジュリア・ロバーツ; ダーモット・マルロニー; キャメロン・ディアス

商品詳細を見る
スポンサーサイト

theme : 楽しく働く
genre : 就職・お仕事

tag : スポーツ 記者 ライター 仕事 幸せ ゴルフ チャンピオンズ・ツアー

comment

Secre

なるほどね〜
でもTomoyaは好奇心旺盛だから、例え政治や芸能担当になっても、向上心を持って前に進んで行くんだと思うよ。
まーうちの親の場合、根っからの政治・社会畑って感じがするけど笑

>薫
芸能担当の自分はあまり想像できんな笑 
でも自分には続かないだろうとは思いながらも、政治記者はやっぱり憧れるよ。記者になるって分かってんだったら、薫のお父さんにもっとその話を聞いておけばよかった。てか、今度ぜひお話をって頼むよ。



仕事をする上で、地位、名誉、お金、自分の興味、と、どこかでみんな優先順位をつけるんだと思う。全部手に入れられたらベストだけど、大多数の人にとっては、それは難しいこと。自分の場合は、時間が最も大切なものだと思った。1日の最低1/3、下手したら半分を費やす仕事は、自分の好きなことをやりたいって思うし、それが自分にとっての幸せだと思う。まあ、仕事をするというのは、好きなことを楽しむという感覚だけではやっていけないのが現実かも知れないけど、どこかでその気持ちはいつも持っていたいよね。

>taka
自分にとって大切だと思う順位で仕事を選べたら幸せですよね。でも僕自身、周りの人のプライオリティに流されてしまうことがあります。それがお金だったり、地位や名誉だったり。今回takaさんが書いてくれたことを忘れずに、常に自分に優先順位を問い続けようと思います。
プロフィール

TomoyaS

Author:TomoyaS
アメリカ生まれ、日本育ち。日本で大学を卒業した後、アメリカの大学院でスポーツ学の修士課程を修了。現在はカリフォルニアの新聞社でスポーツライターとして活動中。

最近の記事
RSSフィード
ブログ内検索
ブログランキング!
ランキングに登録しています。下のバナーをワンクリックお願いします!

FC2ブログランキング

カテゴリー
月別アーカイブ
最近のコメント
最近のトラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。