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高校の中退率55パーセント

うちの新聞を読んでいてショッキングな記事を見つけました。

「ビクタービルの高校中退率55パーセント

カリフォルニア州が発表した2006-2007年の最新データです。中退率2パーセントちょいの日本人の感覚からすれば、州全体の4人に1人という数値でもびっくりなのに、半分以上というのは想像を絶します。

しかしこうした数値には、アメリカ社会の現状や悲しい格差、偏見が隠されているといえます。

1.ヒスパニック人口の増加
カリフォルニア州で中退率が高まっている背景には、中南米諸国からの移民の増大が挙げられます。今や州人口の35パーセントがヒスパニック系(不法移民を入れればその割合はもっと高いと言われます)。アメリカに来たばかりの彼らは低賃金の仕事しか得られず貧しい生活を強いられます。その結果、親は子供の教育に力を入れる余裕などなく、高校生の子供も勉強時間を割いてでも収入を得ようと職に就きます。

ボクが取材した高校生の中にも、せっかく大学からスポーツ推薦の誘いがあったのに、親が家の側で暮らしてほしいからと断ったサッカー選手や、親も子供も大学チームからもらった勧誘手紙をどうしていいのか分からず、放置し続けているという野球選手がいました。

彼らの文化圏では教育を受けるよりも、仕事をしてお金を稼ぐことが価値のあることとして見なされる傾向にあるといいます。アメリカで教育熱心だと思われているアジア人家庭とは、正反対の考え方です。「ヒスパニックの親が子供に家の手伝いを終えてから勉強しなさいと促すのに対し、アジア人の親は子供に勉強を終えてから手伝いなさいと言う」とロサンゼルス・タイムズの記事にある親のコメントが引用されていました。

そして生徒達は、そうした人種ステレオタイプに合わせることを求められます。ヒスパニックの高校生が真面目に勉強していると、周りの生徒から「お前はヒスパニックらしくない、アジア人みたいだ」などとからかわれるのです。仲間外れを恐れる生徒は、自然と周りと似たような振る舞いをするようになります。

また残念なことに、ハイデザートの一部の高校では、英語ができない生徒のための特別教育が整っていないところもあり、それが移民してきた子供の中退率を高める要因にもなっているようです。

2.人種・地域格差
今回カリフォルニア州が公表したデータでは、アジア人を除くマイノリティ人種の中退率が飛び抜けて高くなっています。黒人生徒が41パーセント、アメリカ先住民とヒスパニックが約30パーセントと、白人の15パーセントとアジア人の10パーセントを大きく上回ります。

残念ながら地域別の中退率を見ても、マイノリティの人口比率と中退率は比例関係にあります。ビクタービルはハイデザートの中でも特にヒスパニック系と黒人が多い市であり、白人の割合が高い他市よりも中退率が高くなっています。

アメリカは収入や人種による棲み分けが日本よりもはっきりしています。地価の高いところには豊かな家族が集まり、低いところには低所得者層がかたまる。それが伝統的に白人と他人種という区分に一致してしまっているのです。

低所得地域は税収が少ない上、親たちの教育に対する意識が低い家庭が多いので、子供の教育を支援する設備や制度を整えづらくなります。それで学校を中退してしまった生徒は低所得の職にしかありつけず、自分たちの子供にも似た人生を歩ませることとなるのです。まさに階層の再生産です。

これがアメリカという国が人種抜きでは語れないと言われるゆえんなのです。
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theme : 教育問題について考える
genre : 学校・教育

tag : アメリカ 日本 中退率 カリフォルニア ヒスパニック 人種 アジア 教育

comment

Secre

本当に、階層の再生産ってどうにかならないのかしら...って私もずっと思っています。日本でもだんだんとそういう傾向になってきていて、とっても悲しい。
Coach Carterっていう映画見たことありますか?実話に基づいた話なんだけど、勇気が出ます。

中退率の高さ、日本じゃ想像できませんね。
様々な人種が混在する国だからこそ、そしてマイノリティの国民性に関係している問題ということを初めて知りました。これを解決するのは容易ではなさそうですね。

毎年、卒業のシーズンに地元紙に高校卒業者の名前が顔写真入りで載っていたことを思い出します。高校がひとつしかない小さな町でしたから。その中には一度中退して復学、卒業した成人の生徒も何人かありました。こういう形で高校卒業者を祝福し、学業継続への意識を持たせようとしていたのかな、と思います。

>Ichiko
悪循環を食い止めるには、低い階層の子供たちがハンデなく人生を歩めるような教育システムや社会インフラを整えなくちゃならないと思う。日本でも格差が目に見えるようになってくれば大きな問題となるかもしれないね。
Coach Caterはまだ見てないんで、早速友達に借りてくる。

>エルルさん
国民性は一つの要因ですが、それを強調しすぎるとステレオタイプを助長してしまうので注意が必要だと思います。伝統的な価値観というよりは、マイノリティの経済・社会的立場が労働に重点を置かざるをえなくしているという面もありますので。
アメリカの新聞は地元の高校、大学の成績優秀卒業生を発表したり、高校の卒業式を一面で取り上げたりと、卒業に対する意識の高さが伝わってきます。一度は諦めても、年齢に関係なくセカンドチャンスを得られる柔軟性がこの国には備わっています。

確かにそうですね。
国民性にすべて帰しては、解決は難しい。
ヒスパニックの人々の意思だけでは解決できない、経済的な問題。
社会構造や教育システムを変えてよい循環が実現するといいですね。
プロフィール

TomoyaS

Author:TomoyaS
アメリカ生まれ、日本育ち。日本で大学を卒業した後、アメリカの大学院でスポーツ学の修士課程を修了。現在はカリフォルニアの新聞社でスポーツライターとして活動中。

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